コンポステーラの巡礼路
- Hitomi

- 1 日前
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楽しみにしていたコンポステーラの巡礼路ハイキングが、中止になった。
収まるかどうかハラハラしていた猛暑がうまい具合に落ち着いてきていたのに、本当にガッカリである。なぜ行けなくなったかというと、パリから南下する夜行列車が運休になったから、しかも2度も。最初のは3日前、次のは1日前に国鉄SNCFにドタキャンされた。理由は「機材の故障のため」という。
さて、コンポステーラの巡礼路とは、1000年以上前からキリスト教徒が奇跡を求めて聖ヤコブの遺骸を訪ねるルートのことで、ヨーロッパ各地からフランスを抜け、スペインのイベリア半島北西端の終点サンティアゴ・デ・コンポステーラまで、何種類ものルートがある。中でもフランスの道は、風光明媚なハイキングコースとして愛好家が多い。

フランスの主な道は4つあり、そのうちの一つがル・ピュイ・アン・ヴレからコンク経由でモワサック、そしてピレネー山脈を超える「ル・ピュイの道」。パリから南下する平坦なルートもあるのに、一昨年、ハイキング仲間から誘われたのが、この山道だった。中世から巡礼者が最も多いこの伝説的な巡礼路は、日陰が一切ない草原や上り下りの大変な岩山、内陸の手付かずの大自然を行く。行程は厳しいが圧倒的な美しさのため今も一番人気らしい。ただ、アクセスがものすごく悪く、出発地点に行くまで一苦労だ。

1年目は、パリからクレルモン・フェランまで列車、その後バスでル・ピュイへ。この日は移動日で終わってしまう。修道院の巡礼者用宿舎に泊まって、翌朝、ル・ピュイ・アン・ヴレの高台にある大聖堂(ユネスコ世界遺産)でミサに出席。ミサが終わると、なんと教会の床がサーッと開き、外に続く階段が現れる! 祝福を受けた巡礼者はそこを降りて長い旅に出発するのである。その後、1日約20kmを歩き、5日後オーモン・オーブラック着で終了。そこからまたバスに乗り、ロデーズから夜行列車でパリに戻った。


2年目は、夜行列車でパリからロデーズへ。翌朝、バスで前年の終了地点オーモン・オーブラックまで行き、そこから歩き始めた。前の年より1日短かったことと、途中、車で迎えに来てくれた知人の田舎の家に泊めてご馳走をいただいたので、気持ち的にもだいぶ楽をした。途中ユネスコ世界遺産の野原を歩き、フランスの美しい村サンコーム・ドルトを経て、エスパリオンで巡礼路は終わり。そこからバスでロデーズまで行って夜行列車でパリに戻った。



今年はやはり夜行列車でロデーズ、翌朝バスでエスパリオンまで行き、そこから巡礼路をスタートさせ、2日後にはコンク、5日後にフィジャックで終了、のはずだった。宿も予約済みだし、地図を読み込むのも楽しく、残るは天候だけが不安要素だった。折しも例外的な猛暑で、南フランスの内陸は連日、40℃近かった。1週間前になって、体調を心配した同行者が今回はやめる、と言い出した。


私は諦める気はなく、予報ではあと数日で気温も下がるし、暑ければ途中一部をバスにすればいい、どうしても酷暑が収まらなかったらキャンセルで列車代が戻ってこなくてもいい、とギリギリまで待つ方に賭けた。運よく、気温は下がり始め、午後の最高気温が33℃くらいになった。ほっと胸を撫で下ろし、朝夕が涼しいから長袖も必要、とリュックの中身を再点検し、あとは出発するばかりだったのだが。




出発3日前にSNCFから夜行列車キャンセルのSMSが届いた。払い戻しか別の列車に変更、どちらかを選べという。健康上の理由から中止したがっていた友達は、自分からキャンセルしたら4割しか戻ってこないところ100%払い戻しでラッキーだったが、私はキャンセルせず、予定日の翌日の同じ夜行列車を選び、1日目に歩くはずだったところを現地特別バスに変更(20ユーロの出費)し、それぞれの宿には1人になったと連絡した。私はどうしても行きたかったのだ。

ところが、前日の昼前、SNCFから再びキャンセルが来た。慌てて、それでもなんとか行く方法はないかと調べてみるが、翌日の朝出発の列車に乗り換えるしかない。が、差額を50ユーロも払わなくてはならないし、1日中列車移動、ロデーズに着いたらホテル代もかかる(50~60ユーロ?の出費)、次の日はバスを3回乗り継いで、翌々日の午後に巡礼路をスタート・・・無理だ。これでは歩く前から疲れてしまう。諦めるしかなかった。
行きの夜行列車は向こうの都合だから全額払い戻ししてもらえたが、現地のバスは民間なので払い戻し不可。帰りの列車も無料払い戻し期間は過ぎていたから、4割しか戻ってこなかった。
今度こそ、あのコンクを訪れられる、と思っていたのに、無念だ・・・。


私はクリスチャンではないし、何かお願い事があってこの巡礼路を歩きたいわけではない。一昨年もたまたま友達の誘いに乗っただけで、どこまでにするかも決めていなかった。ただのハイカーである。でも、一度やってみたら続きがしたくなり、昨年、そして今年と少しづつ進むのが楽しみになった。牛や羊がのんびり草を食む大草原、小さな美しい村、石ころだらけの登りくだり、キノコが生える林の中。1000年もの間、無数の巡礼者たちが星に導かれて歩いた道は、とても魅力的なのだ。


先にリタイアした友人が、じゃあ、9月に行こう、と言ってくれて、早速、2人で計画を練り直した。巡礼路ハイキングは1ヶ月半後となった。

ところで、フランス語ではホタテ貝のことをコキーユ・サン・ジャック(聖ヤコブの貝)という。そのため、巡礼者はホタテ貝をリュックにつけて歩く。巡礼者が歩く道はホタテ貝のマークで記され、途中の家の扉にホタテ貝のマークがあったらそこは巡礼者に一晩宿を提供するという意味だ。ホタテ貝には何か神秘的な力がある? 次回は、そんなホタテ貝の秘密について書いてみたいと思う。




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