ペイパー・アーティストJFJ(Junior Fritz Jacquet ジュニオー・フリッツ・ジャケ)の作品について
- Hitomi

- 3月25日
- 読了時間: 4分
更新日:4月13日

JFJ(Junior Fritz Jacquet ジュニオー・フリッツ・ジャケ)というペイパー・アーティストの作品展をクリシーまで見に行った。
数年前、パリの世界展示会メゾン・エ・オブジェ(超デラックス商品・家具展)で出会った人の作品展だ。私はその時、四国の和紙専門店モリサ(株)が出展する際の通訳仕事をしていたが、社長と営業担当者が2人とも出かけていて、ブーススタンドで留守番をしていた時に、その人はやってきた。
身長190cmはありそうな肉付きのいい黒人の大男が、店頭の和紙商品を見に来たのである。メゾン・エ・オブジェは世界の前衛的最高級品が出展される見本市、そこに集う訪問客も様々だ。どんなプロが観にくるかもしれない。同時にまた、冷やかしも多い。
和紙に興味を持ってきてくれたらしいその男性がそのどちらなのか、私には判断つかなかったが、曰く「私はオリガミ・マスターで、折り紙作品をアートとして作っている。子供たちにも折り紙を教えている」まあ、一見アーティスト風ではあるが・・・オリガミ・マスターって、いったい?
目の前のラスタヘアーの黒人男性と和紙がすぐには結びつかず、正直なところ、怪訝な気持ちで聞いていたが、「和紙で照明も作っている、このようなクオリティの和紙を探していた」とも言う。

ちょっと太めで人の良さそうなこの男性のアートがどんなものか全くわからない。が、言葉の選び方や話し方に繊細さと真剣さを感じた。
「今、責任者が留守なので、後で連絡する」と私が答えると、「ここにいるから」と、自分がデザインをしたというブース番号を残して彼は去っていった。
後で彼の名刺にあったサイトを見ると、その仕事ぶりは実に素晴らしいものだった。
戻ってきた社長と営業部長に「すぐに会いに行った方がいい」と強く勧め、2人はそのアーティストが使えそうな和紙サンプルを持って出かけた。
するとその翌日、ジュニオーはその和紙を使った作品を持ってモリサのブースに現れた。
見ると、彼の手法は、折り紙というより、日本の「絞り」技術に近い。和紙を水に浸して捩って絞り、形を作ってから、ドライヤーで乾かす。そのため、通常の和紙では完成時の形がうまくできないのだそうだ。
彼はサンプル素材を受け取ってから嬉しくて、すぐに試したくなって徹夜で作ったという。空中でつまめば重さで伸び、下に置くと元に戻る。何度やっても元の形状が保たれる。「水に浸しても構わない紙だが、さすがに濡らした紙を絞って形にした人は初めて!」と社長も驚くのだが、その耐性には企業秘密があるらしい。

「レース素材の和紙でここまで弾力があるものは世界にない!今後ぜひコラボレーションして欲しい!」とJFJはモリサの和紙をベタ褒め。このクオリティでもっともっと大きなサイズが欲しいとリクエストした。

確かにJFJは、超高級ホテルのエントランスを飾る照明をデザインする名の知れたアーティストだった。
だが、自分のライフワークとして、廃止になったパルプ工場から貰い受けた膨大な紙素材を使って、全て手作業で(!)海の底を表した世界を再現し、2年前はコンピエーニュ城、昨年始めに広さ1000m2の元スケート場、昨年暮れにボー・ル・ヴィコント城、今年の初めまでクリシー市役所で展示会を開催した。
全て耐熱紙で出来たクラゲやマンタや地底の花や植物群。彼が両手の指で作り出す海の底の世界は、とても優しく幻想的だ。
ちなみに、花はこのまま照明器具として購入も可能のようだが、私は、空に浮かぶマンタが欲しい。(H)
2026年4月13日加筆訂正
Junior Fritz Jacquet/ジュニオー・フリッツ・ジャケ
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